おしゃれに飲む

メイン画像と

ドキュメンタリー映画「世界一美しいボルドーの秘密」(9/27、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開)の製作と監督を務めたワーウィック・ロス氏が来日して、懇親会が行われました。なんと、オーストラリアでワイン造りも行っている、二足のわらじを履く人物だったのです。いくつか面白い話が聞けたので、お知らせします!

 

<映画製作のこぼれ話>

「たとえ原語が異なる人同士であっても、ワインがその橋渡しをしてくれる」と、ワーウィック・ロス氏はワインの魅力から語り始めました。実際に、美味しいワインをともに味わうことで、様々な人との交流ができるものです。ただの飲み物ではない、単なるアルコール飲料ではない、特別な何かがワインにはある、それを自身のワイン造りを通して、そしてこの映画の製作を通して改めて感じたのかもしれません。

 

この映画のポスターにも使われているメインの画像には、ある一人の中国人男性のシルエットが使われています。この人物が何で財を成したのかは、映画を観てのお楽しみとしまして、そのコレクションの総額は「7000万ドル(70億円以上)」だというのです。彼の存在を知りコンタクトを取ろうとしたけれど、すぐにはOKをもらえず、何度も粘り強く交渉したところ、ようやく会うことができたそうです。ただ、実際に会ってみるととても紳士的な人物で、彼のコレクションの中から選んだ素晴らしいワインを開けての美味しいランチをご馳走してくれたようです。なんとこの人物は、シドニーに5つも家をもっているとか。

インタビュー交渉が難航したのは、中国の投資家だけではなく、ボルドーのシャトー関係者も同様だったようです。1年越しで交渉した人物もいるようで、最も困難だったのがシャトー・ラトゥールのフレデリック・アンジェラ氏。しかし彼の場合も、一度承諾した後はじっくり語ってくれたといいます。また多くの人が、ロス氏もワインを造っているとわかると親近感が増すのでしょう、大きく心を開いてくれたようです。やはりワインは架け橋になったのですね。

 

そしてもうひとつ面白かったのが、シャトー・ラフィット・ロートシルトのお話。ラフィットが中国で絶大な人気があるというのは有名な話で、そのフェイクものが氾濫しているといわれています。映画の中でも「中国に存在する1982年のシャトー・ラフィットは、実際に生産された本数よりも多いんだ」というような言葉が出てきますが、ロス氏もこういいます。

「中国にあるラフィットの10本に1本が本物だといいます。でも、これはポジティブな見解です。ネガティブにいえば、本物は100本に1本だけ」。こういったことも、名のあるオークションでの争奪戦に拍車がかかる要因なのかもしれません。

 

それにしても「投機目的で手に入れられたワインは、そのまま木箱から出されることもなく、そのままセラーで寝ている」というのですから、溜め息がでてしまいます。愛情を注がれて造られたワインは、やっぱり愛をもって美味しく飲まれるべきではないかと思うわけです。

参考:ドキュメンタリー映画「世界一美しいボルドーの秘密」についての記事

 

<ワーウィック・ロス氏のワイナリー>

「どちらもゼロから始める、という点で、ワイン造りも映画の製作もよく似ています。ブドウの樹を剪定して形をつくっていくように、ドキュメンタリー映画も人物やその語りなどを組み合わせて形をつくっていきますから」。ワイナリー経営と映画製作は、生活のなかでほぼ半々の割合だというワーウィック・ロス氏。1本だけワインを持参したというので、皆で少しずつ味見をさせてもらいました。

 

「ポートシー」ワイナリーがあるのは、オーストラリアのヴィクトリア州。メルボルンより南西に伸びるモーニントン・ペニンシュラという半島です。しかも、その半島の最南端付近だといいます。もしかするとペンギンが見える? と聞くと、近くのビーチに来るというのです。南極が近いので冷涼な気候の場所なのです。

 

ボトル持参のワインはピノ・ノワールでした。栽培している品種は、ピノ・ノワールを中心に、シャルドネ、ピノ・グリ、それにテンプラニーリョ。なぜスペイン品種のテンプラニーリョなのかというと、単に好きだから「1樽だけ造っていて、ほとんど家族と友人で飲んでおしまい」。

「ピノ・ノワール2012」は、果実味豊かで心地よいなめらかさのある味わいでした(300ケースほどの生産)。より上級の単一畑のピノ・ノワールもあるといいます。「単一畑のほうはクローンも1種類だけで、MV6。今飲んでいるのはMV6だけではなく、777など4種類のクローンのブレンド」。いずれもオーストラリアのワイン評論家ジェームス・ハリデーに、高得点をもらっているようです。

 

もともとこの地所は父の代から所有していたようですが、当時は牛を飼っていたといいます。ワーウィックの代になり、2000年からピノ・ノワールを植樹して2004年からワイン造りを始めたのです。「ここの土壌は表土は砂が多いけれど、下層には石灰岩があって、ところどころむき出しになっているところもある。石灰岩があるのはモーニントン・ペニンシュラでもここだけで、珍しいんだ。だから、最初はちょっと固く閉じていたでしょ。今、ちょうど開いてきた」と言うのですが、私たちのグラスはほとんどワインが残っていなかったのでした。

ワインの話は尽きません。彼のワインもどこかで見つけたら、是非飲んでみてください。

ポートシー・エステイトのホームページ

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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