ワイン&造り手の話

ボルドーのスーパーセカンドと呼ばれるシャトー・コスデストゥルネルは、東洋的な建築でも知られる人気のシャトーです。そのコスが、白ワインを造っているのをご存知でしょうか? 今回は白ワインのセカンドラベルをご紹介します。清々しい、海の風景を思い起こさせる白ワインです。

 

アジア・パシフィック担当のシャルル・トーマス氏が解説してくれました。

アジア・パシフィック担当のシャルル・トーマス氏が解説してくれました。

シャトー・コスデストゥルネルは、ボルドーのメドック地区でも西端にあたるサンテステフ村にあります。ちょうどすぐ隣にはポイヤック村のシャトー・ラフィット・ロッチルドがあるという、優れた立地だということは多くの方がご存知だと思います。一瞬、その畑から白ワインを? と思われたかもしれません。実際に、いくつかのメドック地区の有名なシャトーが白ワインを造っていて、赤ワインと同じ村名表記ができないので、ボルドーの基盤となる「ボルドー・ブラン」というカテゴリーでリリースしていますから。

 

ただ、コスの場合は白ワイン用の畑を別の場所に構えることにしたのです。

 

2012年ヴィンテージは、固いリンゴに、心地よいグリーンな要素とスパイシーさを少し加えたような清々しい香りがして、時間と共にバニラのようなゆったりとした香りに変化していきます。何となく海風や潮の味わいを感じてしまうのは、畑が海に近いと聞いたからなのかもしれません。

 

シャトーから大西洋へ向かって25キロの地に、2001年に畑を購入しました。海から10キロで、ちょうど海とジロンド河の間にあります。ここはかつてジロンド河の中州だったので、今でも畑の中には砂利や小石が多いといいます(下層は粘土)。海にとても近いので、シャトーのあるメドック地区と比べると、海の影響で比較的安定した気候がもたらされます。ただ、寒流の影響で夏の気温はメドックより2度低く、特に夜間の温度が更に下がります。この後者の条件が、白ワイン用ブドウを育てるのに最適、というわけです。

 

「グレ」という名前は、Le Port de Gouléeという土地の名前からとったようです。もともとカベルネ・ソーヴィニヨンが植えられていた畑だったところを、根を残してソーヴィニヨン・ブランとセミヨンを接ぎ木しました。この白ワイン用の畑を探すのに、5年間もかかったとか!

 

コス人物でも、その成果があり、フレッシュでクリスピーな酸となめらかさを兼ね備えた、きれいな味わいの白ワインができあがっています。ちょうどラベルに使われているメタリックなエメラルドグリーンは、この白ワインの香りと味わいにとてもよく似合います。この色合いにピンと来た方、是非試してみてはいかがでしょうか。

 

<データ>

グレの畑:5,5ha

栽培比率:ソーヴィニヨン・ブラン75%、セミヨン25%

熟成:フレンチオーク(30%新樽)

赤は2003年より、白は2005年より生産。65〜70%が白。

(輸入元:この銘柄はピーロート・ジャパンによる独占販売/税込4,968円)

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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