青森の魅力に触れる旅③ 〜八戸酒造訪問の巻〜
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奥入瀬渓流ホテルで「七子八珍」と共に楽しんだ「陸奥男山」「陸奥八仙」は、八戸に1775年からある「八戸酒造」のお酒です。豊かな魚介類でも知られる八戸まで足を伸ばして、八戸酒造を訪問してきました。
(青森の魅力に触れる旅①奥入瀬渓流で七子八珍、②青森屋訪問記も、どうぞ)
<陸奥男山と陸奥八仙>
海に近いからでしょうか。とても風が強くて、ちょうど雪が降った後ということもあり、肌にチクチク刺さってくるような寒さでした。そんな中、私を迎えてくれたのは、跡継ぎで9代目になる専務の駒井秀介さんです。青森らしい日本酒、あるいは八戸らしさって何でしょうね? と質問し始めると、こんなことを教えてくれました。
- 専務の駒井秀介さん。弟さんが2013年から製造責任者になったそう。若いパワーで一杯です。
- 蔵の向うには屋形船。創業者は近江商人だったそうで、紋の「山ニ星」が白壁に。
「八戸は漁師町なので、辛口嗜好なんですよ」。
だから昔からあるブランドの「陸奥男山」は辛口タイプの仕上がり。反対に、17年前に立ち上げた「陸奥八仙」は、吟醸香が特徴的な、お米の旨みを引き出した旨口タイプに。
「実は、私自身あまり飲めなかったのです。日本酒も嫌いで。でも、『十四代』の『本丸』を飲んで感動しました。熟れた白桃のような甘味があり、それでいてスッキリ飲み飽きしない上品な味わいで」。
家業を継ぎに帰った時、「陸奥八仙」の造りが始まって、まだ4年目で、まだ完全に方向性が決まっていたわけではなかったので、じゃあ「香りが華やかで旨みのある味に。日本酒を飲めなかった自分自身が感動し、日本酒に目覚めた、日本酒の入り口になるようなお酒にしたい」と、今の「陸奥八仙」の姿へ向かい始めたそうです。
そして、八戸酒造で扱っている米は、酒造好適米、飯米含めて11年前からすべて青森県産の米だけです。JAからの購入。契約農家からの購入。加えて、11年前に八戸で一番水のきれいな「蟹沢地区」の休耕田を約一町部拓いて、純米から純米吟醸まで幅広く使える「華吹雪」を無農薬無化学肥料の自然農法にて育てているのです。
7年前からは「がんじゃ自然酒倶楽部」を発足して、田植え、草取り、稲刈り、酒造り体験など、共に酒米を育てて酒造りの一旦を体感してもらう催しを行っているようです。造りに関わるとなれば、どのぐらい手がかけられているのかが実感できて、余計にお酒を美味しく感じること、まちがいないでしょう。
- 「まっしぐら」が入った米袋。
- 3種類の米のサンプルです。
- 華吹雪を30%給水させたもの。
- 暖かい麹のベッド、麹室。
- ブクブクと発酵中。
- 搾り立てを飲ませてもらうと、フレッシュな梨とメロンの香りが!
八戸酒造から生まれる日本酒は、造り手、米、酵母、仕込み水、どれもが青森そのもののです。この土地のもので醸される日本酒は、この土地の自然の恵みで作られた料理と、合わないわけはありませんね。
いくつか試飲させていただきました。
「陸奥男山 金の生」メロンや梨の香りがして、口当たりはソフトながら後味がキリッと辛口。「七子八珍」と、とりわけ野菜との相性が抜群でした。
「陸奥八仙 ISARIBI」八戸の夜の海の光景、いさり火がラベルに。酵母は協会901だけの特別純米で、かっちりとした堅めの味わい。是非、イカ料理と!
「どぶろっく 冬バージョン」(「どぶろっく」は別の記事をご参照ください)あえて冬は甘めに、夏バージョンはフレッシュな酸が出やすい白麹を用いて爽やかな酸のあるスッキリやや辛口に仕上げるそうです。
- 男山、八仙のボトルたち。ISARIBIは、上の右から3本目。
- 「どぶろっく」の冬版(左)と夏版(右)。
<青森の豊かな食と共に>
「八戸の食の豊かさも、共に知ってほしい」という駒井さんに、陸奥男山や陸奥八仙とお薦めの地元料理を挙げてもらいました。
イカ料理にイカの塩辛。さすが、イカの水揚げ日本一の八戸です! 他にも、しめさば、食用菊のおひたし、南蛮味噌。
南蛮味噌とは、刻んだ野菜の醤油もろみ漬けのようです。大根、人参、ゴボウ、キュウリなどを、もろみ味の漬け物で、甘辛く、ほんのりピリッとしていました。確かにお酒が飲みたくなります! 市場やお土産屋さんでも、結構売っていました。ご飯のお供にもなりそうです。
「青森シャモロックのレバーパテと、燗酒もいいですよ」と、駒井さん。う〜ん、美味しそうです! 駒井さんも美味しいもの好きみたいですね。また今度、美味しいカップルを教えてもらいたいと思います。
八戸酒造訪問のあとは、地元の食材が揃っていると聞いた「八食センター」を訪ねてみましたので、画像でお楽しみください。
青森の魅力に触れる旅① 〜奥入瀬渓流の巻/七子八珍と日本酒〜
青森の魅力に触れる旅② 〜青森の祭りとワインの巻〜
- イカの塩辛、美味しそうです。
- 他にも色々塩漬けが。
- 干物も酒類が豊富ですね。
- 青森ならではの保存食。
- 市場内で七輪で焼いて食べるセット!
- 八戸のイカ!
- これが「ひらがに」。
- 「フジツボ」も売っておりました。
- やっぱり、りんご、りんご、りんご!
- 箱ごと買いたくなりました。。。
DATA: 詳細は八戸酒造のホームページをご参照
「陸奥男山」米は、まっしぐら。酵母は協会7号、アルコール度数19%まで発酵できる超辛口タイプの11号。
「陸奥八仙」米は、まっしぐら、華吹雪、華想い、発酵力は弱いけれど吟醸香が出やすい、吟醸系青森県の酵母(まほろば吟、まほろば醇)と1001(あるいは901)を1対1で酒母に。
まっしぐら=平成17年に発表された青森の改良品種で、飯米。
華想い=青森県の酒造好適米。山田錦×華吹雪 心白が大きいので50%以上削れる。
華吹雪=青森県の酒造好適米。心白はあるが溶けやすいので精米は55%までにしている。
(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)
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