ワイン&造り手の話

多銘柄で少量生産。

さて、オリヴィエ・オリオの「つづき」です。 彼の造るシャンパーニュについての話が、ようやく始まります。オリヴィエ・オリオは、「テール・エ・ヴァン・ド・シャンパーニュ」という17社が加盟するグループの一員です。他にはアグラパール、ベレッシュなどがいます。自然酵母での発酵など、その土地に根付いたシャンパーニュ造りを、という信念をともにする仲間です。

 

<シャンパーニュ>

「ロゼ・デ・リセ」のところで説明したふたつの畑のうち、バルモンのピノ・ノワールだけを使った「ロゼ・ド・セニエ エクストラ・ブリュット」と「ブラン・ド・ノワール ブリュット・ナチュール」があります。試飲したのは、どちらも2008年ヴィンテージでした。

 

「ロゼ」は、スティル・ワインに通じる上品な香りで、ラズベリーやピンク・グレープフルーツのようなやさしいタッチ。厚みがあり、温度が低いと酸やドライなニュアンスを感じますが、時間が経って温度が少し上がってくると、まろやかになります。一般的なロゼ・シャンパーニュのイメージとは異なるタイプで、玄人向けかもしれませんね。(ロゼ・デ・リセと同様に全房でセミMCを行い、リセより期間は短いながら4日間)

 

「ブラン・ド・ノワール」は、香りにも厚みが出てトースティーさも加わります。レモンピールやリンゴチップ、あるいは少しトロピカルフルーツ的な要素も感じられ、味わいはやはり厚みがあり、はじめはフレッシュでドライに感じ、温度が上がるとまるみが出てきます。この土地らしさを満喫するには、やはり高めの温度で飲むのがよさそうです。

 

このバルモンの畑は3haほどあるそうです。およそ、斜面の中腹をスティル・ワイン用、頂の部分はシャンパーニュなど、場所によってどの銘柄にするのかおよそ決めているようですが、収穫日も異なるといいます。2008年か2009年か聞き忘れましたが、順番としてはこんな感じ。

9月21日収穫→ブラン・ド・ノワール

9月24日収穫→ロゼ・シャンパーニュ

9月25日収穫→ロゼ・デ・リセ

9月26日収穫→コトー・シャンプノワ赤

 

<もうひとつのシャンパーニュ>

もうひとつ「5サンス ブリュット・ナチュール」という、特別なキュヴェがあります。5樽のみ、5つの土壌で育った、5種類のブドウ品種をブレンドしたワインを、1年間かけて樽発酵させたワインから造ったもの。聞いただけでも、創造力を掻き立てられます。

2008年ヴィンテージは、リンゴ、白い花、トーストなどのピュアでなめらかな香り。味わいにもはじめからなめらかなバランスよさを感じ、後味はとてもフレッシュ。何となく、日本酒で使う「生一本」というような表現を使いたくなるシャンパーニュです。

 

シャンパーニュについて説明するオリヴィエさん。

シャンパーニュについて説明するオリヴィエさん。

ブドウ品種は、アルバンヌ、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ブラン、ピノ・ムニエ。聞き慣れない「アルバンヌ」は古代品種と呼ばれる範疇のもので、先代の頃から畑にあったようです。

「晩熟な品種で、収穫のタイミングがとても難しいし、収穫量がとても少ないのです。特徴としては、とてもフローラルな香りがあり、熟成とともにハチミツ香が出てきます。ただ、どちらかといえばニュートラルな品種で、シルヴァネールと似ているかもしれない。オーブには、ピノ・ブラン同様に昔から植えられていた品種です」。

5種類の品種は、アルバンヌとシャルドネがフレッシュさを、ピノ・ブランとピノ・ムニエが果実の丸みを、ピノ・ノワールが仲介的な役割をしている、と説明してくれました。

 

ちなみに「2006年ヴィンテージは量がとれて『5サンス』を造ってもなお200リットルだけ残ったので、アルバンヌだけで1樽だけ造ってみた」といいます。オリヴィエさんは好奇心の塊ですね。

それが「アルバンヌ ブリュット・ナチュール」という140本だけの限定品です。試飲はしていませんので、どんな様子かお伝えすることはできませんけれど、きっと何か特別なニュアンスをもつシャンパーニュなのでしょう。

 

オリヴィエ・オリオのシャンパーニュとロゼは、少し玄人向けですが、創造力や好奇心を多いに掻き立ててくれる銘柄です。

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Related Article