ワインと料理

ダブルテイスティング、という言葉がようやく市民権を得始めているのかしら、と思う今日この頃。

これは10年以上前だったか、ワイナリーのオーナーにグラス1杯では美味しいで終わってしまう、でも2杯あったらどっちが好きか意識すると思う、と言われて。

以来、私も意識したい! と思った。

だからことあるごとにこの言葉を使っています。

 

ただこの前お邪魔した4ヴィンテージのテイスティングはうーん、わからなかった。

それらを比較して飲ませたいのか、料理とのペアリングを味わってほしいのか。

比較するのであれば4アイテム一緒にサービスしてほしい。

いや、ペアリングだよ、というのであれば、ペアリングのポイントを伝えてほしい。

その点、説明がなかったからそうじゃないんだな、と思ったけど。

なんでこれらのヴィンテージを今日テイスティングするのかもわからなかったしな…残念。

 

私はダブルテイスティングとは基準が同じもの同士、と決めています。

カベルネ・ソーヴィニヨンだったらその品種同士を比較してみる。

これをカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワール、とやってもきっと覚えられない。どちらも散漫になってしまう。

ここで難しい専門的な言葉を使っても(そのほうが楽だし)ワインに興味を持ち始めた方にはまたハードルを上げてしまう気がする。

面白がりようって人それぞれだけれど。

ワインって「あれを飲んだけどなんだったか思い出せない」というシーンが多いから、何か飲んだことの記憶を残したい。それはわかりやすい飲ませ方なのではないか。

IMG_0092

このお店はグラスワインを同一品種にそろえています。

これはピノ・ノワール。

 

 

 

 

IMG_0091こちらはシャルドネ。

 

 

 

 

パッとみてわかるものばかりだと思います。

ピノ・ノワールでもエリアと国を変えている。

シャルドネも然り。

でも軸となるブドウは同じもの同士。

お客様にはわかりやすい図式。

 

同じ品種でもこうして飲んでみると全く表情が違う、ということは明確にわかる。

そこからがソムリエやサービスの方の本領発揮。

テロワールのこと、熟成のスタイル、ワイナリーのこと、この地方の名物料理などなど、ワインそのもののことより、このワインにどうすれば関心をもってもらえるか。

美味しい、という言葉を引き出すのではなく、このワイン、好きだなーという感情にヒットしてほしい。

美味しいって本人の主観であってアテにならないと私は思っています。

好き、ならわかるけれど。

 

ワインを通じて

きっかけになる言葉を紡ぎ出すことで興味を持ってもらえる気がする。

これはテイスティングのテクニックではなくワイン以外のいろいろなことを知っていなければ意味がない。

ワインのバックボーンを知る、ということ。

人って何がきっかけでこのワインに興味をもつかわからないから。

 

こうなるとどういう順番で飲ませるか。

これは本当に大事だと思いました。

考えれば考えるほど楽しいですよね。

何を食べるか、でも全く変わるし。

今回はシャルドネにフォーカス。じゃぁ、何食べたいかな…

 

目の前にこれがありました。

ハマグリ、にします。

 

どういう味わいが想像できるか。

出汁。

焼く。

煮る。

蒸す?

和える。

Etc

 

この中で一番強敵なのは出汁だな。

香り、旨み、塩気、どれを生かすか。余韻をどこまで引っ張れるか。

これだけ飲んで美味しくてもダメ。

合わせるポイントがあるはずだから。

 

もしかしたらハマグリだけではなく、鰹出汁も加える?

いりこは違う気がして。甘さというか甘さ、でくくるのはなんとなく違うけれど、平たく言うと甘さが出てくる。

鰹は血合いのない部分がいいのかな。

合わせてみるのもいいかも。

その場合、どのくらいの塩気を入れていくか。

あー、前回塩について書いてみたけれど、

かなりこれは悩むなー。

 

出汁、温かいほうがいい?冷ましてみたらどうなる?

 

かれこれ1日以上、このことについて妄想しています…

結果は次号、冒頭で。

 

しかし。

ハマグリって奥深いですね。

(text & photo by Satoko Fujisaki)

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