ワインと料理

食というのは本当に趣味趣向に走りがちだな、と

この食材を見るたびに思います。

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そう、木耳。大好きすぎる食材です。

なんで? と必ず聞かれますが、

ううう、答えが明確にならない。

ただ感じていることは

味わいの邪魔をせずに存在感を出してくる、ということかしら、好きなところは。

 

この半年、特にこの木耳の動向を気にしていて

今年の2月だったか、一斉に市場から消えました。

いつも行くスーパーには全く入荷しないし、

築地の卸市場をリサーチに行っても(そこまでする?)

あぁ、ないねぇ、しばらく見てないね、という反応だったし。

 

乾燥モノがあるからそれはそれで食材不足にはならないのだろうけれど、

やはり生の木耳の食感は本当に違うと思うのです。

大きすぎてもダメ。大きいというか、これは立派。

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中国料理でのマッチングになるとは思うのですが、

木耳だけを炒める、というのはあまりなく、

圧倒的に木須肉。

私の偏食嗜好では豚肉もたまごもいらない。

この2つはそのまま食べればよい。それぞれ美味しいから。

他に何かないかしら、新しい発見…と思っていた矢先の

このメニュー。

 

IMG_0694深圳で出会った「木耳とセロリの炒め物」。

これはヒットしました。

日本だとホワイトセロリに近い味わいのセロリ。

この細さだと思う。

これが普通に日本で売っているセロリを細くカットしたらよいか、というと

そうではない。

この細さで完結している味があるから。

カットすると断面から強く個性的な味が出てくると思うからダメ。

この細さ、それが木耳、生姜、塩、コショウと合うポイント。

木耳、木耳、セロリ、木耳、セロリと木耳、の順に

分解しながらひたすら食べていました。

これはセロリと木耳を一緒に食べることが良いかも。

食感と香り。2つの食材が全く異なる役割を出してくるから

クリエイティブな印象になる(大げさですね…)

 

写真、撮っていませんが、同じく深圳で

「洋葱小木耳」(Marinated black fungus with onion)

も食しました。洋葱は紫玉ねぎ。これをしっかり水にさらしています。

マリネだからほのかな酸味があるけれど

これが全くエグくない。

同じ味を再現すべく日本に帰っていろいろ試しているのですが、

あの酸味はなんだろう、着地できていません。

もう一度リサーチ行きたい。

 

とこの3週間近く、ずっと木耳を毎日食べていて

じゃぁ何を飲みたいか、と妄想しています。

味付けは毎回変わるから違うものか…とお思いかもしれませんが。

ワインの個性をいろいろな角度から引き出す、という意味では

同じワインで統一したい。

なんだろう、このガンコな妄想は。

 

炒める、ということでの香りと食感。

マリネ、ということでの酸味とバランス。

合わせる食材、ということでの存在感。

 

木耳にも木の味、というか自然の香り、個性がありますから

それを引き出しつつ、食べ飽きない方向に着地したい。

赤、ではない。うーん、20年くらい経った

サンジョヴェーゼ・グロッソとかならいいのかなぁ。

芯があるなかに柔らかくなってきているタンニン。

でもこれはなかなか出会えない。

よって却下。

 

シャンパン、は困った時に選べばよいから今回はスキップ。

想像できるから。

 

ロゼ、でもない。というかロゼの研究がしっかりできていないから

品種、国、造り手をセレクトしきれない。

 

以上を踏まえて白ワイン、となります。

 

深圳でダイナスティの白ワインをテイスティングしました。

しかもVT1998。

それがどことなくシェリー酒の香りがして。

その時食べていたのは火鍋だったのですが(もちろん木耳もオーダー)

あら、この組み合わせ良いわ!と思っていました。

 

ただ98年のダイナスティなんて手に入らないし

自分の妄想からシェリーの香り、という思い込みもあるから

そうね、スペインワインだ!、とひらめきました。

単純すぎますが、想像から生まれる面白さってこの単純さなのではないか…。

 

01806クネ モノホ゜ール フ゛ランコ13いろいろイメージしてたどり着いたのがこちら。

クネ・モノポール2013

マカベオ100%。

シェリーとはまた違う個性ですが、ブドウの味わいに独特の香りがあります。

なんとなくこの個性な気がする。いわゆる世界的品種にはない個性。

アタックに酸味があるのだけれど、それがノドを通り過ぎる時には

優しい果実の香りをまとい、

余韻に柔らかさを見せてくる。

おそらく酸味があるものでもぶつからない余裕があると思う。

ただストレートな酸味ではなくいろいろまざっている旨みがある酸味。

 

試してみます。深圳持って行ったほうが早いかな…

(text & photo by Satoko Fujisaki)

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