ワイン&造り手の話

ロゴノーヴォのラベルは、シンプルで見ていて心地よい
ロゴノーヴォのラベルは、シンプルで見ていて心地よい

ロゴノーヴォのラベルは、シンプルで見ていて心地よい

イタリアのトスカーナ地方の中でも古都シエナに近いモンタルチーノの丘は、サンジョヴェーゼだけで造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノの故郷として知られています。ところが、この丘の中腹でブルネッロではなくて、いわゆるスーパー・タスカンと呼ばれる類いの赤ワインを造り始めた人がいます。その名は「ロゴノーヴォ」。

 

イタリアのスーパー・タスカン「ルーチェ」や「シエピ」をご存知でしょうか。「ルーチェ」はモンタルチーノの丘で、「シエピ」はキアンティ・クラッシコの丘で、昔からこの地方で栽培されてきているブドウ品種サンジョヴェーゼに、ふくよかさが特徴的なボルドー品種として知られているメルロをブレンドして造られる赤ワイン。いずれも大変高い評価を得ています。「ロゴノーヴォ」のオーナー、マルコ・ケラー氏の頭の中にはこれらのワインのイメージがあったようです。

しかも彼が2003年に購入した敷地は200ヘクタールと広大なのですが、そのうちのブドウ畑11ヘクタールは、なんと「ルーチェ」が造られる畑の一部が存在する「カステルジョコンド」の畑に隣接しているのです。

どうしてモンタルチーノに土地を買ったのにブルネッロを造らないのか?という問いへの答えは「私のワイナリーはとても後発なので、既にたくさんあるブルネッロを造るのではなくて、他の人が造っていない赤ワインを造りたいと思ったから」ということでした。面白いのは「ルーチェ」や「シエピ」のようにサンジョヴェーゼ+メルロで勝負するのかと思いきや、なんとブドウ畑に植えられた品種は、

サンジョヴェーゼ40%

メルロ30%

プティ・ヴェルド10%(ボルドーで補助品種として使用されている品種)

シラー10%(ローヌ地方の品種)

サグランティーノ10%(ウンブリア州で造られるサグランティーノ・ディ・モンテファルコに使われる品種)

更に、

マルベック(フランスでも栽培されているが、今アルゼンチンで多く栽培されている品種)も少量のみ植えました。

オーナーのマルコ・ケラー。ラジエーターをアフリカへ販売して財をなし、夢のワイン造りへ。

オーナーのマルコ・ケラー。ラジエーターをアフリカへ販売して財をなし、夢のワイン造りへ。

 

コンサルタントのロベルト・チプレッソ確かにこの組み合わせでブレンドしている赤ワインは、聞いたことがありません。ただ、もちろんやみくもに植えた訳ではなく、きちんとコンサルタントと共に土壌分析をした結果に決めたことです。ただ、最後に植えたマルベックについてはちょっと私情が入っていました(笑)。コンサルタントはイタリアではとても有名なロベルト・チプレッソという人物なのですが、彼いわく「実は、僕のルーツがアルゼンチンにあって今も仕事で頻繁に訪問しているので、いい畑から苗木を分けてもらってきた」というのです。オーナーのマルコが、ロベルトを信頼して全権を委任している様子が見てとれました。

 

二人が意気投合して、夢を語り合いながら造り始めた「ロゴノーヴォ」は、2008年が初ヴィンテージです。わずか3,000本から始め、2009年が15,000本、2010年が31,000本と増えてきています。日本でも販売されているようですから、探してみてはいかがでしょうか。まだ始まったばかりのプロジェクトですから、今後が楽しみです!

http://www.logonovo.it

 

 

2月末のロゴノーヴォの畑。すぐそばにカステルジョコンドの畑が。

2月末のロゴノーヴォの畑。すぐそばにカステルジョコンドの畑が。

 

このステンレスタンクは、自動的にピジャージュ(櫂入れ=果帽を液体と混ぜ合わせる作業)が行われるしくみになっている。

このステンレスタンクは、自動的にピジャージュ(櫂入れ=果帽を液体と混ぜ合わせる作業)が行われるしくみになっている。

 

小樽は2カ所から購入。メルロとシラーは新樽で熟成させるが、サンジョヴェーゼは古樽で。

小樽は2カ所から購入。メルロとシラーは新樽で熟成させるが、サンジョヴェーゼは古樽で。

ロゴノーヴォ 2008  Logonovo 2008

この年はメルロだけで造った唯一の年です。とても素直なチェリーやスミレの若々しい香りがして、ジューシーでなめらかでハツラツとしています。バランスよくチャーミングな味わいです。

 

ロゴノーヴォ 2009  Logonovo 2009

2009年から、サンジョヴェーゼ主体に5品種のブレンドです。サンジョヴェーゼの特徴的な香りが広がり始めています。味わいはしっとりしたニュアンスですがタンニンが結構しっかりしているので、今飲むならば早めに抜栓するかデキャンタするとよいのではないでしょうか。

 

ロゴノーヴォ 2010  Logonovo 2010

2010年からは、やはりサンジョヴェーゼ主体に5品種のブレンドです。この年にはマルベックもブレンドしたかったようですが、収穫前に猪に食べられてしまったので無理だったといいます。香りはまだ開いていませんでしたが、熟した果実の香りがきれいで上品な印象。そして味わいはとてもなめらかでソフト。タンニンが少し若いので、これも早めに抜栓するのがベターだと思います。

 

<おまけ>

実は「ロゴノーヴォ」のワイナリーで、「ロゴノーヴォ2008」と他ワイナリーの11銘柄を同じ2008年で揃えて共に試飲しよう、という催しが開かれました。2008年がメルロ100%なので、同じようにメルロのみかメルロ主体で造られる各国の有名銘柄との比較試飲を、というわけです。イタリアでの価格が安い順番にその銘柄を記してみます。それぞれの産地と一言コメントも記してみますので、参考にしてみてください。

 

各国のメルロ11−ロゴノーヴォ Logonovo 2008 <Logonovo>

 

2−ラマイオーネ<マルケージ・ディ・フレスコバルディ> Lamaione 2008  <Marchesi di Frescobaldi> トスカーナのモンタルチーノ/華やかでふくよかな香りと味わい。

 

3−ラ・リコルマ<サン・ジュスト・ア・レンテナーノ> La Ricolma 2008 <San Giusto a Rentennano> トスカーナのキアンティ・クラッシコ/まろやかで熟成し始めている様子。

 

4−マクラン<クロサラ> Maculan <Crosara>  Breganze 2008 ヴェネトのブレガンツェ/スパイシーで少し植物的なニュアンス。タンニンもしっかり、若い。

 

各国のメルロ25−オークヴィル・メルロ<ニッケル&ニッケル・ハリス>Oakville Merlot 2008 <Nickel & Nickel Harris> カリフォルニアのナパ・ヴァレー/パンチのある果実が印象的な素直な味わい。

 

6−メルロ<パルメイヤー> Merlot 2008 <Pahlmeyer>カリフォルニアのナパ・ヴァレー/複雑性のある香りで、丸くふっくらとした味わい。

 

7−バッフォネロ<ロッカ・ディ・フラッシネッロ> Baffonero 2008 <Rocca di Frassinello> トスカーナのマレンマ/しなやかな香りと、厚みと弾力のある味わい。

 

各国のメルロ38−メッソリオ<レ・マッキオーレ> Messorio 2008 <Le Macchiole> トスカーナのボルゲリ/香りは閉じていて、味わいは上品ながらタンニンがとても豊か。

 

9−ラッパリータ<カステッロ・ディ・アマ> L’Apparita 2008 <Castello di Ama> トスカーナのキアンティ・クラッシコ/まろやかな香りで、バランスと力強さが備わる。

 

10−レディガッフィ<トゥア・リタ>Redigaffi 2008 <Tua Rita> トスカーナのスヴェレート/動物的な香りとコーヒーのような香ばしさがあり、味わいはしなやか。

 

11−シャトー・ド・シュヴァル・ブラン Chatesu de Cheval Blanc 2008 < Chatesu de Cheval Blanc> ボルドーのサンテミリオン/香りは閉じていてロースト香がし、上品できめ細やかで密度の高い味わい。

各国のメルロ4

12−マッセート<テヌータ・デッロルネライア>Masseto 2008 <Tenuta dell’Ornellaia> トスカーナのボルゲリ/香りは閉じていて少しなめし革が香り、味わいはなめらかで上品で果実の丸みもあり、緻密。

 

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