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ビーズ/ボトル2

サヴィニー・レ・ボーヌにいくつもある畑について、最近のヴィンテージについて、千砂さんが解説してくれました。せっかくなので記しておきます。飲む時に、何となく風景を想像しながら味見すると、ひと味違って感じるかもしれません。(本編もご参考に)

 

そうそう、まずはサヴィニーの話の前に「コート・ドール」のいわれについて。通常「黄金の丘」と呼ばれています。Côte d’OrのCôteが丘でOrが黄金ということです。

「秋になると、ブドウの葉が紅葉して丘が黄金色に見えるから、と聞いていました。でも、黄金色になる葉はシャルドネだけなのです。Orは、東を表すOrion=オリエンタルに由来します。この丘が東向きの斜面だからです」。

ということで、黄金の丘、と呼ぶのはロマンチックではありますが、本来は東向きの丘、というのが正しいとのことでした。

 

さて、サヴィニー・レ・ボーヌの畑は、ロワン川(地図のちょうど真ん中あたりの青い線)の右岸(南側=ボーヌに隣接)と左岸(北側=アロース・コルトンに隣接)に分かれています。いずれも川に近い位置や平坦な場所が「村名」畑で、丘の中腹が「1級」です。以下、ドメーヌ・シモン・ビーズが所有する畑の解説を。

PDFでご覧になりたい方は、下をクリックしてください。(地図提供:ラック・コーポレーション)

PDFでご覧になりたい方は、この画像下のリンクをクリックしてください。(地図提供:ラック・コーポレーション)

14:Savigny-les-Beaune

 

<村名の畑>

  • グラン・リアル Savigny-les-Beaune Aux Grands Liards

グラン・リアルは、川の左岸にあります。ここから生まれるキュヴェは「村名にしては美味しいね、とよく誉めてもらいますが、もともと1級だったのです」。

かつてドイツ軍がこの地に攻め込んできて、停留しました。そして、1級のワインから飲んでしまったそうです。そこで村人が思いついたのは「グラン・リアルを格下げしてドイツ軍から守ろう」という奇策です。村人一同で合意して、村名に格下げしたということです。

 

*レ・ブルジョ Savigny-les-Beaune Les Bourgeot

こちらは川の左岸で、グラン・リアルより少し下流域。「ここは3ヘクタールと広めなので、数年前からさまざまな実験に使っています。畑に使う亜硫酸や銅をどのぐらい減らせるのか、あるいは薬草でどのぐらいブドウを防除できるのか。試みています:。

 

<1級の畑>

*オー・ゲット Savigny-les-Beaune 1er Cru Aux Guettes

川の左岸の上流付近で標高が高めの場所にあります。「ゲッテ、というのが見晴らす、という意味で、そこからの命名です。細かい粘土の赤い土です。この場所は、ちょうど川の吹き出し孔になっていた場所なので、川の流れによって石灰岩の上に粘土を乗せる、という形になりました」。この粘土質がワインの力強さを形成することになります。

 

*タルメット Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Talmettes

オー・ゲットとオー・ヴェルジュレスの間の小さな区画です。「うちは赤しか造っていませんが、他のドメーヌは赤も白も造っています」。いずれ、白ワインを造る可能性も出てくるのかもしれません。

 

*オー・ヴェルジュレス Savigny-les-Beaune 1er Cru Aux Vergelesses

サヴィニー・レ・ボーヌの中で最も大きな区画です。「一番条件が揃った区画です。春になると雪が一番早く溶け始めるのもここです。北の渓谷から流れてくる風と、西の渓谷から流れてくる風が合流するのがこの地点です。ドライな環境が保てるので、とても健全なブドウが収穫できます。ただ、2013年の7月23日だけは、この風がネガティブな影響を及ぼしました。ふたつの風が雹の雲をもってきてしまって、45分間停滞して、ヴェルジュレスのブドウはほぼ全滅という大被害を受けました」。この後、「ブドウのストレスを取り除くためにディナミゼした水にヴァレリアンヌ(カノコ草)を混ぜて散布したり、粘土と薬草を傷口に塗ったり」と、ケアがとても大変だったようです。ただ秋に、ほんの少量だけ実がついているのを発見したそうです。「奇跡」だと、感じたといいます。

 

*レ・フルノー Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Fournaux

オー・ヴェルジュレスより少し下方にある畑です。同じ名前の畑の上部が1級、下部が村名と分かれていますが、シモン・ビーズが所有するのはすべて1級の部分です。「エレガントさと芯の強さ、そしてアロース・コルトンに似た野獣っぽさも兼ね備える」ワインが生まれます。

 

*レ・セルパンティエール Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Serpentieres

オー・ゲットのすぐ下方に隣接している畑です。「実はここのブドウはウイルスに感染しています。ブドウの実が色づく頃に、葉がくるっと巻き始めて赤くなってしまいます。色素が葉にいってしまうので、ここから生まれるワインは色が薄いのです。ウイルスに感染した場合、ウイルスと一緒に生かしていくのか、あるいは引き抜いて改植するか、という選択を迫られるのですが、2008年にこのままでいくという道を選ぶことに決めました」。とても手がかかる畑だからこそ、愛着もひとしおだといいます。

 

*レ・マルコネ Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Marconnets

川の対岸、右岸にある畑で、ボーヌとの境に位置しています。「砂と粘土混じりの土壌で、色々なキャラクターがミックスしています」。

千砂ちゃん横

各ヴィンテージについても解説がありましたので、記しておきます。飲む時の、販売する時のご参考に。

<2010年>

「2009年を100%の収穫量と考えると、2010年は80%。凝縮感があり果実味豊かで、美しいワインができました」。

 

<2011年>

「白は量的に問題なく、酸とミネラルのバランスよく、若くから楽しめます。赤は90%ほどの量で、こちらは少し時間が必要です」。

 

<2012年>

「6月まで雨が続き、ありとあらゆる病気が蔓延しました。筋肉質で果皮が厚いブドウだけが生き残った、生命力を感じる年です。量は半分だけとなりました」。

 

<2013年>

多大な雹の被害を受けた過酷な年で、サヴィニーにおいてはわずか20%の量だったようです。

「赤ちゃんのコブシ大のブドウが、あちらこちらに残っていました。本来は収穫しないはずの未熟果が熟していたのです。収穫してみると糖度が足りなかったので、最大限補糖してやっと12%になりました。いつもは必ず全房発酵させますが、この年ばかりはほぼ除梗しました。とてもデリケイトな年なので、果実味がなくならないうちに、早めに瓶詰めしました」。

2013年の「レ・フルノー」を試飲しましたが、とてもフルーティーで繊細な香りと味わいで、タンニンもこなれて綺麗なので、今からでも楽しめる状態でした。スパイシーでタンニンもしっかりしている例年の造りとは、まったく別の姿でしたが、これも可憐で親しみがわきました。

 

<2014年>

「ようやく2010年のレベルの量がとれました。失敗できないという意識が強く、気合いの入った年です。素晴らしい出来となりました」。

(輸入元:ラック・コーポレーション

(tex t & photo by Yasuko Nagoshi)

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