ワイン&造り手の話

IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)で「スパークリング・ワイン・メーカー・オブ・ザ・イヤー」を通算7回受賞している、最高醸造責任者のレジス・カミュ氏。

ヴィヴィッドな赤いラベルや、カンヌ国際映画祭の公式シャンパーニュを20年間務めていることでもお馴染みの、パイパー・エドシック。今年の11月から日本市場では、スタンダードのノン・ヴィンテージを特別なキュヴェだけにすると決めました。「たくさんの子供がいる中で、一番いい子を選んでお披露目するようなものでしょうか」と、最高醸造責任者のレジス・カミュ氏。さて、そのこころは?

ヴィヴィッドな赤と金がパイパー・エドシックのシンボル・カラー。

ヴィヴィッドな赤と金がパイパー・エドシックのシンボル・カラー。

「パイパー・エドシック」は1785年からの長い歴史の中で、マリー・アントワネットへの献上、14カ国の王室御用達拝命、マリリン・モンローのお気に入りの「目覚めの一杯」など、華やかな社交界のシャンパーニュというイメージを保ち続けています。そういえば、それだけではありません。ジャンポール・ゴルチェの赤いビニールのコルセットを纏った時にも、話題を呼びました。だからでしょうか、パイパーといえば、ポップで快活な印象がとても強く残っています。

ところが、今年の11月から日本市場で発売開始される新商品「エッセンシエル キュヴェ ブリュット」は、ちょっとニュアンスがちがうようです。ちなみにこのキュヴェは他国の場合、特別なワイン・ショップとレストランにしか置かないとか。数量限定で、ラベルにはシリアルナンバーも記されています。さて、これは一体どんなシャンパーニュなのでしょうか!?

<選ばれたロット>

色使いはそのままで、ラベルなどのデザインは落ち着きのある上質のイメージに。

色使いはそのままで、ラベルなどのデザインは落ち着きのある上質のイメージに。

「例えば、リンゴの樹の前に佇んでいるとしましょうか。たくさん実がなっています。ひとつだけ食べようと思って見ていると『これ!』と、手を伸ばしたくなるものがきっとありますよね。そういうロットをセラーから選んで、通常のブリュット・ノン・ヴィンテージより12ヶ月長く瓶熟成させたのです」。1994年から最高醸造責任者を務めるレジス・カミュ氏は、そう語ります。

この、より長い瓶熟成は「選んだその子に、よりたっぷり勉強するように教えている感じでしょうか」。つまり、それだけ潜在能力を感じたロットを見つけたから、長い瓶熟成をして、更に能力を発揮できるように誘導した、ということです。

<エッセンシエルの誠実さと包容力>

「ストラクチャーも、フルーティーさも、大きな広がりも感じられ、誠実で、その性格、あるいはブレンドがまるで素通しで見えるようです」と表現されるエッセンシエルは、フレッシュながら豊かでリッチな側面があります。それは、1年間長く瓶熟成されたことだけでなく、ブドウのブレンドにも理由があります。約100種類ものワインをブレンドしてできあがるのですが、その主体となるのがピノ・ノワール。この黒ブドウ品種ならではの豊かさが反映されているのです。

グラスに注ぎ立てはリンゴや洋梨、白桃、レモン、グレープフルーツのような果実の香りが、少し緊張感を伴って立ちのぼりますが、時間が経過して温度が上がると、ローストしたアーモンドやフィナンシェのような香ばしい香りもしてきます。フレッシュながらとてもなめらかで、ソフトで、豊かな味わい。そして最後に塩のようなニュアンスが残るのが印象的です。

エレガントであり、豊かさも持ち合わせているので、野菜から、魚料理、牛肉などの肉料理まで、まったく違和感なく合わせられてしまいます。とても懐の深いシャンパーニュです。

<エッセンシエルという命名の理由>

「最も大切なキュヴェ」であるノン・ヴィンテージのブリュットを「プレタ・ポルテ」とも喩える、レジス・カミュ氏。

「最も大切なキュヴェ」であるノン・ヴィンテージのブリュットを「プレタ・ポルテ」とも喩える、レジス・カミュ氏。

「エッセンシエル」というフランス語は、「大切」あるいは「重要」「知っておかなければならないこと」という意味があり、「それを知っておくことはエッセンシエルだよ」という使い方をするそうです。つまり、この名前をつけることで「ノン・ヴィンテージのキュヴェは、シャンパーニュにとって一番大切なキュヴェだ」ということをより強調したい、という意図があるようです。

毎年同じ味わいを保つノン・ヴィンテージのキュヴェは、それぞれのシャンパーニュにとっての「顔」あるいは「看板」であり、どんなに貴重なプレステージ・キュヴェよりも、最も情熱を注ぎ込むものだと、何度か聞いたことがあります。

1年延長された瓶熟成期間の間に、豊かさ、ストラクチャーなど、プラス・アルファな要素が確かに醸し出されています。つまり「ノン・ヴィンテージ・ブリュット」というスタンダードのキュヴェに、更に時間を与えることで、その質の高さ、潜在能力をよりはっきりと、正確に、明確に表現するために創られたキュヴェなのです。

日本を中心に販売されるのですから、品質の高いものを好む日本の消費者なら、との期待かかかっているようにも思えます。市場に出る11月が楽しみです!

<付記/Data>

ピノ・ノワール 55〜60%/ピノ・ムニエ20〜25%/シャルドネ10〜15%

2008年ヴィンテージが主体で、11%のリザーヴ・ワインをブレンド

36ヶ月瓶熟成

ドザージュ7g /l

デゴルジュマンの後、6ヶ月寝かせてからリリース。

裏ラベルに、セラーに入れた年月(2009年)とデゴルジュマンの年月

色使いはそのままで、ラベルなどのデザインは落ち着きのある上質のイメージに。

色使いはそのままで、ラベルなどのデザインは落ち着きのある上質のイメージに。

カテゴリー スパークリング
ワイン名 エッセンシエル キュヴェ ブリュット Essentiel Cuvée Brut
生産者名 パイパー・エドシック Piper-Heidsieck
生産年 NV
産地 フランス/シャンパーニュ地方
主要ブドウ品種 ピノ・ノワール主体+ピノ・ムニエ、シャルドネ
希望小売価格 5,800円
輸入元/販売店 レミー コアントロー ジャパン
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