ワイン&造り手の話

トロワクロワ

ブランドを確立するには、長い歴史、多くの人々の知恵と努力の積み重ね、あるいはチームワークが必要なのだといいます。では、大きなブランドを支えてきた人が独立して個人でものづくりを始めた場合、どのような展開をするのでしょうか? 実際には、その後も大きな成功をする人はそれほど多くないのかもしれません。ただ、その人独自の表現力で魅力的なものを創り出す人もいます。

 

シャトー・ムートン・ロートシルトの醸造長だったパトリック・レオンが、息子のベルトランと共に始めた「シャトー・レ・トロワ・クロワ」。ボルドーの右岸地区、フロンサックにある小さなシャトーです。引退する前、1995年から既に家族でこの畑を管理し始めていたようです。リーズナブルないいワインだからと1年半ほど前に入手していたのですが、更に美味しさを増していました!

 

シャトー・ムートン勤務時代に、ジョイント・ベンチャーとして立ち上げたカリフォルニアの「オーパス・ワン」、チリの「アルマヴィーヴァ」にも関わっています。いずれも個性が異なる素敵なワインだと思いますが、何しろ高価なので現実的に考えるとなかなか手が出ません。もちろん、シャトー・ムートンしかりです。でも、この「シャトー・レ・トロワ・クロワ」はヴィンテージによって価格は違うようですが、びっくりするような値段ではありません。

 

それなのに、ゆっくり2日間かけて飲んだのですが2日目もへたることなく、むしろ花開いたように感じられ、とてもハッピーな気分にさせてくれました。満足感の高いワインです。

 

以前、こんなミートパイと。

以前、こんなミートパイと。

色も深く濃いルビー色で、とても綺麗です。まだ若々しく、よく熟したチェリーやカシスといった黒い果実の香りが充実して、スパイス系の香りは少々。そして何より、口の中でのなめらかな食感が心地よいワインです。タンニンももちろんあるのですが、しばらくは感じません。だんだんじわっと出てくるようなニュアンスでとても細やかなので、恐らく食事中にはほとんど感じないのではないかと思います。

 

このワインを造っているレオン父子は、本当にワインが好きなのだと、飲みながら感じられる味わいでした。複数のブランドをチームで創り上げてきた人が、家族一同で腕によりをかけて造ったワインの姿。機会があったら是非試してみてください。

 

<参考>

以前このワイナリーについて書いた記事はこちら「秘蔵の赤ワイン〜元ムートン醸造長パトリック・レオン父子の作〜」「レ・トロワ・クロワ ヴィラ・マリーのもっと詳しい話」を。

このシャトーのホームページに、ビデオがついていました。言葉はフランス語ですが、BGMのサティのピアノがとても雰囲気にマッチしています。

通販サイトで販売しているのを見つけました。

2010年5,054円(税込)

1996年3,980円(税別)

(輸入元のミレジムでの現在の取り扱いは2011年/参考上代3,900円/メルロ85%、 カベルネ・フラン15%)

(text & photo by Yasuko Nagoshi)

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